全国アルパカの日(National Alpaca Day ) はペルー政府が制定した記念日です。
ペルーは世界のアルパカ頭数の約8割を締めていて、商業において重要な役割を担っています。
アルパカの再評価やアルパカ製品の消費拡大、飼育の実態紹介などを目的としてつくられまし
た。
日本では2012年、ペルー在住のライター原田慶子さんのブログによって、知られるようになりました。
ペルー政府は、農業省令第0429号により毎年8月1日を「全国アルパカの日」と制定、エル・ペルアーノ紙を通じ本日公布した。
(ソース: アンデス通信社)
日本にいるアルパカ毛の利用はペルーのように産業にはできていませんが、アルパカ飼育施設でさまざまな取り組みがみられるようになってきました。
日本におけるアルパカの日は、「アルパカとはどういう動物なのか」「アルパカの歴史」に触れ、身近にいるアルパカを大切にしていこうという日として広まっています。
アルパカってどこから来たの?
原産はペルー南部やボリビアの南アメリカ大陸(南米)。高度3500–5000mのアンデス高原地帯に家畜として飼育されています。家畜の歴史は古く、インカ帝国の時代からアルパカの毛を刈り取り衣服や敷物に加工していました。
日本のアルパカは、ペルー、ニュージーランド、アメリカから輸入されています。(現在ペルーからは来ていません)
アメリカでは牧場での飼育以外にもペットとして飼われていることも多く、血統書がついていることもあります。日本で初めてアルパカを展示したのは1976年に鹿児島県の平川動物公園で、本格飼育がスタートしたのは1981年、埼玉県の東武動物公園であるとされています。
アルパカはどの動物のなかまなの?
その容姿から羊やヤギのなかまじゃない?と誤解されますが、アルパカはラクダの仲間です。ですがラクダのように人を乗せることはできません。アルパカは毛を利用するために品種改良された動物です。(運搬はリャマが得意です)
羊やヤギは家畜ですが、日本ではアルパカは家畜に分類されていません。
アルパカは種類があるの?
ワカイヤ種とスリ種、2種類のアルパカがいます。ワカイヤは皆さんが想像するふわふわもこもこの毛のアルパカです。世界で飼育されているアルパカの多くがワカイヤです。
スリの特徴はドレッドヘアーのように毛がまとまり、垂れ下がっています。ワカイヤよりも毛が細くやわらかく、シルキーなつやがあります。日本では2〜3頭ほどしかおらず、大変希少です。
アルパカの毛は極細で、毛の中が空洞になっていて熱を保温する機能があります。そのため毛は大変高価でアルパカ100%のセーターは3万円以上します。ですが、とてもあたたかく長持ちするので冬の寒さに重宝し「アルパカの暖かさを知ったものはもう逃れられない…」と言われています。(編集部談)
アルパカの色は白!というイメージですが、確かに白色の飼育頭数は多いのですがアルパカの特徴としてカラーの豊富さもあげられます。黒やグレー、茶色…茶色にしても、ベージュ・うす茶・焦茶…と別れ分類すると25種類ほどあるそうです。希少なカラーもあり、グレーでも赤色のような色が入っている「ローズグレー」は日本でも2・3頭しかいません。
アルパカは何を食べるの?
草食動物ですから、草を食べてエネルギーに変えています。アルパカは反芻動物のなかまで、特徴として胃が複数あります。食べた草を口の中ですり潰し、一度胃に入れます。(胃の中で発酵させます)そしてそれをまた口の中に戻し、さらに歯ですり潰していきます。
ちなみにアルパカは上の前歯がなく、硬くなった皮膚をすりこぎのようにして左右に口を動かしてすり潰しすように食べます。
ご飯を食べた後、端っこの方で座ってぼーっとしているアルパカの喉をよく見てください。胃からぐぐ〜っと取り出して反芻している様子を見ることができますよ。
日本では乾燥した牧草、生の牧草、配合飼料などを与えています。牧草にも種類があり、イネ科・まめ科、国産・海外産と色々とあって、アルパカの個体によって気に入っているご飯が違います。アルパカは嗜好性が高く、とってもグルメなんです。
アルパカたちの様子を見ていると、なにか赤いブロックみたいなものをなめているのを見たことがありませんか?それは鉱塩(こうえん)といい、塩の塊です。牧草だけではミネラル不足に陥ってしまうため、塩を摂取する必要があるのです。
日本にいるアルパカはどんな暮らしをしているの?
アルパカは年中繁殖期なので、一緒にしておくと大変。オスとメスで分けて暮らしています。アルパカは群れで暮らす動物です。1頭だけでは不安でストレスが溜まり体に良くありません。
メスの群れには子どもも含まれますが、大きくなってくると子どものオスは群れから出されます。
オスはオスの群れがある場合と、相性が悪くケンカが耐えないなどの場合は1頭づつ柵で区切っていることもあります。その場合でもお互いの存在が分かるようにしています。寂しがりやなんですよね。
アルパカがツバをかけてくるのはどうして?どんな匂い?
アルパカは臆病な性格な上、鹿のような立派なツノも肉食獣のような立派な牙も持ち合わせていません。
「こっちに来ないでほしい!」「寄らないで!」「何するの!」と思ったらとっても臭いツバを飛ばして相手に攻撃します。
実はツバではなく、胃の内容物です。胃の中で発酵している草なので、とっても臭いし粉々の草が混じって緑色です。どんな匂い?と聞かれると「アルパカの臭い唾の匂い」としか言えないのですが、臭いです。草の香り…は無くて香ばしいわけでもなく…足の裏の匂いがなんかちょっと草っぽい…植物が腐ったような匂いです。しばらく匂いは取れません。
唾をかけられないようにするポイント
・おやつあげの際、アルパカ同士が牽制しあってツバをかけ人間がもらいツバを受けることしばしば。お友達とおやつをあげるときは、おやつでアルパカを誘導して離れたところでおやつをあげるとよいでしょう。
・怪しい動きや意地悪をしない。アルパカが嫌いな人間は、急に動く・大きい声を出す・意地悪をする人間です。おやつをあげるのを焦らしたりするとアルパカもイラッとしてツバをかけることがあります。
・予備動作を見逃さない。ツバを吐く前には耳を伏せ顔を上にあげて口を開ける行動をする場合が多いです。
どうして毛を刈るの?
原産国ペルーではアルパカ毛は国の重要な産業のひとつで、インカ帝国の頃から交易品とされていました。現在でも、ペルー、アメリカ、ニュージーランド、オーストラリア、ヨーロッパではアルパカを飼育し毛刈りをして、その毛を工場で糸にして製品にし、産業として成り立っています。
それでは日本はといいますと、飼育している施設でもすこしずつ、毛の利用方法を試行錯誤しながら製品化を行う動きがありますが、基本的には日本の夏の暑さ対策として毛を刈っています。海外では産業動物ですが、日本では家畜に分類されず、展示動物として飼育されています。
ほとんどの施設では、貴重なアルパカの毛を捨てるのはもったいないので保管しているところが多いですよ。
上のアルパカはこの年はじめての毛刈りでした。赤ちゃんや子供の頃はまだ自分で体温調節が不十分なこともあり2歳になるまでは毛刈りをしない施設が多いです。1回の毛刈りで約3kgほどの毛の量となります。
アルパカの知識については、まだまだ伝えたいことがありますが今回はこの辺で。
群れなす、アルパカ編集室はこれからもアルパカの情報をお伝えしていきます。